前回までで、ビアのあるマイクロストリップラインの特性に関するシミュレーションの基本は出来たと思います。
ですが、まだ共振点が残っているのでこれを無くす必要があります。そこで、レイアウトモデルを以下のように見直しました。
1.今までは、グランド面(L2、L3)を、それぞれL1とL4の対になる部分にしか配置していなかった(図1)のを、L1の下にもL3を、L4の上にもL2を配置した(図2)
図1 従来のシミュレーションで使ったビアのクロスセクション 一部グランドが無い
図2 今回からシミュレーションで使うビアのクロスセクション 全ての層にグランドがある
2.ビアの形状を長方形であったのを、円形形状にした(より現実に近いものとした)(図3)
図3 ビアの形状を丸形にした
3.コネクタ近辺に、全グランド面(L2とL3)を接続するビアをもうける(これも現実の回路に近づける為)(図4)
図4 コネクタのすぐそばにグランドビアを打つ
これらの対策を行って、まずはL1とL4間のラインの接続に丸形ビアをつけたときの、S21とS11を計算してみました。その結果が図5です。
図5 L1とL4のラインを1個の丸形ビアで接続したときのSパラメータ
正直なところ、これでは使い物になりません。ではどうするか?実は、Part2で紹介したモデルでは、ビアの周りのグランドは相互に接続されており、ビアに沿って縦方向にも電流が流れるようになっていたのです。その為、電流分布が以下の図6のようになっていました。
図6 ビア付近の電流分布。マイクロストリップラインのビアの周りにもグランドがあるのが分かる。
今回もこれを行います。その為には、マイクロストリップラインをL1からL2に接続するためのビアの他に、そのビアの周りにもグランドを相互に接続するビアを打ちます。その様子が図7です。
図7 L1からL4へわたるマイクロストリップラインのビアの近傍にグランドビアを打つ
この時のSパラメータが図8です。
図8 グランドビアを追加することによる周波数特性の変化
Part 2に戻るには、こちらを押してください。
Part 4に進には、こちらを押してください。