長年使っていた、ベンチトップ6桁半のディジタル・マルチ・メーター(DMM)hp 34401Aが故障してしまい、電流・電圧・抵抗等の基礎物理量の高精度測定が出来なくなりました。修理も可能なようですが、約90,000円。
hp 34401Aは2016年に販売も終了した事ですし、後継機であるKeysight Technologies 34461Aを購入致しました。
日本最大の計測機器商社である日本電計のECサイト、計測器ワールドで購入しましたが、即納で137,592 円(税込) (2018年8月19日現在)。ミッドレンジのノートPCとほぼ同じお値段。安くなりました。
写真1 Keysight Technologies 6桁半DMM 34461A
通常の数値表示である「ナンバー(Number)」表示の他に、「バー メーター(Bar Meter)」表示、「トレンド チャート(Trend Chart)」表示、「ヒストグラム(Histrgam)」表示を切り替える事ができます。これは表示装置として4.3インチのカラー液晶を搭載したことによるメリットでしょう。

写真2 34461Aのデータ表示形式
試しに、5Vの実験用電源の電圧を測定し、「トレンド チャート(Trend Chart)表示」「ヒストグラム(Histrgam)」を使って、電圧の時間変動と電圧の頻度分布とを表示してみました。
まずは「トレンド チャート (Trend Chart)表示」です。
写真3 トレンド チャート表示
このグラフでは、横軸が時間、縦軸は電圧です。約4時間20分、5V電源の出力電圧をロギングしましたが、その変動の様子がよく分かります。一見大きく変動しているようですが、グラフの中心値が4.99935V、上が4.99950V、下が4.99920Vです。すなわち、4.99935Vに対して±15μV以下の変動幅しかない事がわかります。
続いてヒストグラム表示です。
写真3 ヒストグラム表示
写真3では、横軸が電圧、縦軸はその電圧が出現した頻度です。データ総数は画面左側の「Total」という所に記載されていますが、約3万8千データです(38.72k)。
綺麗な正規分布になっていませんが、ヒストグラムの中心が4.99936Vで、最低値4.99920V、最大値が4.99952Vと、変動幅の最大値は30μVと非常に小さいことが分かります。
これらのデータは、約30年前に作られた実験用電源(写真4)の5V電圧出力の測定値ですが、電圧の「質」はなかなかのものだと分かります。
写真4 未だ現役のMetronix社製3出力電源 〜±18V(600mA)と〜+6(3A)Vを同時出力可能
この新しいDMM、Keysight 34461Aにより、各種物理量の高精度測定が可能になりました。ハードウェア・デバッグの強力なツールになってくれるでしょう。