これからデバッグが始まるプリント基板が、土曜日に到着しました。高速シリアル信号(1.5Gbps)が通るので、基板上のマイクロストリップラインの特性インピーダンスが非常に重要です。特性インピーダンスが、信号源インピーダンス、もしくは終端抵抗(通常50Ω)に合っていないと、波形歪みなど、シグナルインテグリティを損なう結果になります。
早々基板上に作ってあったテストクーポンを使い、TDR法を使ってインピーダンスを測定してみました。結果はなんと、「57Ω」。50Ωラインとして作成したのに、10%以上の誤差が出ています。ちょっとこれは問題です。
マイクロストリップラインの特性インピーダンス計算は、アジレントテクノロジー社アバゴテクノロジー社が無償配布している、AppCADというソフトを使っています。
その時の条件は、以下の通りです。
誘電率:3.6
基板厚み(4層基板なので、L1・L2間のプリプレグの厚み):0.2mm
銅箔厚み:35ミクロン
誘電率が低いと思われる方も多いと思いますが、昨年も同じメーカーのプリント基板を使って、同じように50Ωラインを作ったのですが、その時は上記の誘電率で全く問題ありませんでした。
で、AppCADで行った計算結果は以下の通り。
この結果からマイクロストリップラインの幅は、0.4mmとなり、この値をメーカーに伝えてプリント基板を設計してもらったわけです。
同じメーカーにもかかわらず、特性インピーダンスがこれほど大きくずれた理由として考えられるのは、プリプレグの厚みがコントロールされていなかった可能性があります。
57Ωになる時のプリプレグの厚みをAppCADで計算してみると、0.25mmとなりました(下図)。
実は今回の基板、プリント基板メーカーがちょっとしたミスをしてしまい、基板を作り直してもらうことになっています。その時はプリプレグの厚みのコントロールを厳密にやってもらうようお願いしようと思っています。
再作成してもらう基板上のマイクロストリップラインのインピーダンスが、50Ωになることを祈っておきましょう。
この基板を使うかどうか、は明日以降のブログをお楽しみに!