月別アーカイブ: 2010年2月

メンターグラフィックス様と面会

 前ページからの続きです。

 
 ATEサービス株式会社様のブースを後にして、メンターグラフィックスジャパン様のブースに向かいます。いやー、この不況期に結構な人手ですね。ちょっと驚きました。
 
 実は、昨年このEDSフェアに参加したおり、メンターグラフィックスジャパン様が、プリント基板向けに開発したPIソリューションツール、「Hyperlynx PI」を発表され、その発表の際に担当者の方と名刺交換をし、その時に、「パワーインテグリティのすべて」を翻訳中であることをお話しし、翻訳が出来たらまたお会いしましょう、というお話しになっておりました。
 
 正直、私のような中小零細の個人事業主と会っていただけるか不安でしたが、昨年名刺交換した方と事前にメールでアポイントを取ことができ、大変ありがたく思いました。
 
 さて、お約束の14時にメンターグラフィックス様のブースにお邪魔したのですが、上記の写真のような混雑で、担当者を捜すのが容易ではなく、結構ウロウロしてました。でも、やっと合うことができ、今回翻訳した「パワーインテグリティのすべて」をお渡しできました。
 本をお渡しした後、担当者の方とお話しをしたのですが、ちょっと意外な事実が分かりました。
1.日本でのお客様は、パワーインテグリティ(以下PI)ソリューションツールへの関心はそれなりにあるが、意図しない売れ方をしている。
 
2.PI解析はプリント基板設計前に行って、ある程度PIを確保を確保した上でプリント基板のアートワーク設計に入ると、想定していたが、多くのお客様が、「PIの不具合によるノイズは、シミュレータでは予見できるはずがない。だから、プリント基板設計が出来上がった後でないと解析不可能である」という見解をもっており、我々としては戸惑ってる。
 
 とのお話しでした。特に、「ノイズはシミュレータでは予見できない」という認識には、とてもびっくりさせられました。
 
 個人的には、EMI(不要輻射ノイズ)の問題は、SIやPIが確保されていないからこそ問題になると思っています。従って、SIやPIのソリューションを使って、電磁界解析を行えば、かなり高い確率で予見可能なはずです。
 
 純粋に「ノイズ」と言われるのは、いわゆる「熱雑音によるランダムノイズ」のみで、他は何か理由があって「信号源」が発生し、そこから出る電波を「不要輻射ノイズ」と呼んでいるに過ぎません。この不要な「信号源」を予め予見できるらな、これに越したことはありません。
 これは、ジッタにも言えることで、ジッタの中で、原因があって発生するジッタを「デタミニスティック・ジッタ(Deterministic Jitter)と呼びます。これは何らかの原因があって発生するジッタで、この発生原因を取り除けば、トータルなジッタは減り、熱雑音によるランダムジッタに限りなく近づいて行きます。
 
 プリント基板設計が済んで、部品実装まで終わった段階でPI解析をしても、不要輻射ノイズ「信号源」が特定できるだけで、手の打ちようがないと思います。もし作成された基板が多数の層構成を持っていたならば、手を打つといよりも新規設計とほとんど変わらないことになり、一回目の試作の意味がありません。
 このことによって、製品の投入時期にもズレが生じ、下手をすると大変な損失を生む可能性を秘めています。
 
 この話を聞いて、デバッグ・ラボとして何ができるか考えてみたのですが、EDAベンダーさんは、おそらく計測機器をお持ちでないであろうから、デバッグ・ラボが使える測定器を使って、PIソリューションツールと同じ結果が実測でも得られるよ、というのを証明するのが良いのかな、と思い始めました。
 
 PDNの各種パラメータの測定法は、ざっくりですが「パワーインテグリティのすべて」に記載があります。この方法を使って、EDAベンダーさんが設計したプリント基板のPDNパラメータと、そのデータを元にデバッグ・ラボがその基板を作成し、PDNパラメータを測定した上で、EMIも問題がないことを証明する、というのが良さそうです。
 
 暫く時間がかかるかもしれませんが(2月中旬から4月始めまでちょっと別のことで急がしいので・・・)、こういった具体例があると、お客様もハッピーになれるし、EDAベンダーさんもハッピー、そして私もハッピーになれます。すこし考えてみましょう。
 
 あと、メンターグラフィックス様のブースで気になったのは、PCBソリューションツールである、「PADS Suite」。

PADS_Suite.jpg
 現在、PCB設計は外注さんに頼んでいますが、もしかしたらこの手のツールが必要になるかなぁ、とも思ってます。取りあえず「PADS Suite LS」だけ購入して、基板設計を行い、お金が儲かったら、ESまで上げればSI解析も可能だし、Hyperlynx PIとの連携も可能ですね。
 
 一応「低価格」を謳ってますが、どこまで低価格なのか、ちょっと分からなくてびくびくしてます(^^;)
 
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EDSfairに参加

 最新情報でもお知らせしましたが、1月28日(金曜日)に、パシフィコ横浜で開催された「EDSフェア」に参加してきました。

 
EDSfair_2010.jpg
 最近展示会はあまり行かなくなったのですが、この展示会は、シグナルインテグリティ関連のツール類が多く展示されており、私のメインの仕事である、ハードウエアデバッグに役に立つ情報が満載されている展示会だと思います。
 
 今回の目的は、
1.現状EDAベンダーさんのツールがどの程度まできているのか?特に私のような、ボードレベル設計者、あるいはハードウエアデバッグに役に立つツールがあるかどうかの調査
 
2.昨年、数社からパワーインテグリティ関連のソリューションツールが発表されていた。一年経った今、これらのツールの状況と、この1月20日に発売された、私が翻訳に関わった本、「パワーインテグリティのすべて」と絡めて何かEDAベンダーさんと何らかの「アライアンス」によって、Win-Winの関係が築けないかを探る
 
 が主目的でした。
 
 まずは、1.から。入場登録を済ませ、まずは会場をぶらぶら。取りあえずパワーインテグリティソリューションを出していそうなベンダーを探します。ふと見ると、「Sigrity(シグリティ)」なる会社名を発見。これはどうみても、「シグナルインテグリティ」用のソリューションを提供してるでしょう、と思ってブースに近づくと、まさにPIのソリューションをデモ中。
 
 ソリューションの名前は「OptimizePI」。PCB設計データを読み込んで、PDNの特性を計算し、さらにLSI等のアクティブ部品を搭載した場合のPDN特性を計算し、そのデータを元に、デカップリングコンデンサの最適値と最適位置を求めるというもの。
 
 まさに、これですよ。欲しかったのは。
 
 ひとしきり説明員の方とお話しして、私が翻訳した「パワーインテグリティの全て」を取り出すと、説明員の顔色が変わりまして、表紙に書かれている私の名前と、EDSフェア用のバッチの名前を見比べて「え〜〜〜」と叫んでいただきました(^^;)
 
 この「Sigrity」製品を取り扱っている「ATEサービス株式会社」の説明員の方だったのですが、すでにこの「パワーインテグリティのすべて」をご購入いただいたとか。ありがたいお話しです。
 
 色々と業界話に花が咲き楽しい時間を過ごすことができました。特にアライアンスの話は出ませんでしたが、ATEサービス株式会社様は武蔵溝ノ口にあるとのことで、何かあればご訪問して何らかのアクションがとれるかな、と思います。
 
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EDSフェアとアメリカのDesignCon2010に参加しました。

 1月27日と28日の二日間、パシフィコ横浜で開催された「EDSフェア」と、2月1日から4日まで、アメリカサンタクララで開催された、「DesignCon2010」に参加してきました。

 
 EDSフェアは、昨年初めて参加したのですが、パワーインテグリティやシグナルインテグリティ関連のツールが揃っており、特に「パワーインテグリティ」関連のツールがちょこちょこ出てきていて、当時「パワーインテグリティのすべて」の翻訳を始めたこともあり、興味をもって参加できました。
 今年は、昨年パワーインテグリティ関連のツールを取り扱っているベンダーさんと名刺交換したのですが、それらベンダーの方々に、「パワーインテグリティのすべて」が出版されたことを告知し、何らかの形で仕事上のアライアンスができないか、その可能性を探る為に各ベンダーさんの訪問を行ってきました。
 また、今回発行された、「パワーインテグリティのすべて」が、果たして受け入れられるのかどうか、の調査もあります。
 結果的に、結構良い成果が得られたと思います。
 
 詳しくは、「EDSフェアに参加」のページをご覧下さい。
 
 
 DesignCon2010への参加は、今お仕事のお手伝いをしている、「アルテック株式会社」様が、DesignCon2010にて、自社製品(私も開発のお手伝いをしました)を展示するので、参加した上でブースでの説明員・通訳・他のブースでの情報収集を行って欲しいという、社長様からの強い要望があり、アルテック株式会社様から全額渡航費用を出していただだけるという、まあ太っ腹な待遇で参加させていただきました。
 
 結果、自社製品の展示も多くの引き合いが合ったのですが、それ以上に大きな成果(残念ながらここには書けないのですが・・・)があり、とても充実した4日間でした。

「パワーインテグリティのすべて」好評です!

皆様、おはようございます。

デバッグ・ラボ 代表、國頭延行が翻訳を手がけました、

が、好調な売れ行きを示しております。
 
 発売日直後(1月20日)は、Amazon.co.jpのカテゴリ、
  > 科学・テクノロジー > 工学 > 電気工学 > 電子工学
にて、70位〜30位あたりをウロウロしていたのですが、ここ一週間ほどは、20位から10位の間で推移しております。本日午前7時現在、14位です。
Rank_14_on_Feb-1.jpg
 また、瞬間最大風速ですが、1月26日朝8時の段階で、
Amazon.co.jpの上記カテゴリにて、2位を記録しました。
2nd_Rank_on_Jan-26.jpg

 これほど売れるとは思っていませんでしたので、第一刷の印刷部数は少ないのです。この機会に、在庫の無くなる前に、早めのご購入をお勧めします。